医療の未来
2025-12-19 13:40:45

医療の未来を考える:地域医療とMBAの関わりを探るオンライン講演会

医療の未来を考える:地域医療とMBAの関わりを探るオンライン講演会



2025年11月21日、教育事業を展開するヒューマンアカデミー株式会社が主催したオンライン講演会において、ウェールズ大学のMBAプログラムを修了した齊藤裕之さんが登壇しました。彼は山口大学医学部附属病院の准教授であり、地域医療に携わる重要な役割を担っています。この講演会では、現在の日本の医療が直面している構造的な課題と、具体的な解決策としての総合診療医の重要性について語られました。

日本の医療が抱える課題


齊藤氏は、医療に関するさまざまな調査結果をもとに、医療費や医師・看護師数の増加が必ずしも死亡率改善につながらないことを指摘しました。特に、2017年に行われた47都道府県における調査結果によると、医療資源の投入が健康改善に直結しない現実が浮き彫りになっています。同氏は、医療資源の増加が必ずしも健康な社会を築くわけではなく、長野県のように少人数の医師でも低死亡率を実現している事例を挙げ、地域の環境や社会的要因がいかに重要であるかを説明しました。

総合診療医制度の現状


また、日本の総合診療医制度がアメリカに比べて50年遅れている現実についても触れました。2018年に日本で専門医として認定された総合診療医は、現在約1,000人。こうした専門家の不足が、特に高齢者の多疾患への対応という点で、地域医療システムの脆弱化につながっています。2040年問題が指摘される中で、高齢者人口の急増と現役世代の減少が重なり、5人に1人が医療従事者にならなければ現状維持が難しいとの警鐘が鳴らされています。

社会的決定要因と地域の大切さ


さらに、健康の社会的決定要因として地域環境がいかに重要であるかも説明されました。医療へのアクセスは20%程度にすぎず、地域や社会のつながりが大きな影響を及ぼしています。実際に長野県では、農村コミュニティの力が低死亡率に寄与しているとの意見があります。社会的孤立が健康に及ぼす影響についても触れ、タバコ15本分のリスクに匹敵するという調査結果も紹介されました。

MBAの活用と地域医療の改革


齊藤氏は、これらの課題に対してどのようにアプローチしていくべきかを示す実践例も挙げました。彼は山口県において10年かけて総合診療研修施設を27か所に拡大し、予防医療が提供できる若手医師の育成に取り組んでいます。特に、MBAプログラムの学びを活かし、医療現場でのマネジメントや経営の視点をもって地域医療を改善するための長期プランを実施しています。

まとめ


本講演会を通して、齊藤氏が描く日本の地域医療の未来像が、参加者に深く響く内容となりました。医療従事者が直面している様々な挑戦と、それに対してどのようにしっかりと向き合っていくかを考える、良い機会となったのではないでしょうか。地域医療が抱える課題を解決するためには、医療現場だけでなく、教育やコミュニティの力も必要です。今後、齊藤氏のようなリーダーが益々重要な役割を果たすことでしょう。これからの日本の医療を支えるために、ますます多くの人々の参加が期待されます。


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