食体験を形に残す新たなトレンド「TSUGITE」
2025年に開催される大阪・関西万博に向けて、株式会社uluコンサルタンツが推進する「TSUGITE(ツギテ)」プロジェクトが注目を集めています。このプロジェクトは、食事体験を記憶として形に残すことの重要性を見直し、次世代に伝統工芸をつなげることを目的としています。
食体験に関する調査の結果
uluコンサルタンツは、「記憶に残る食事体験」をしたことがある人を対象に調査を実施しました。興味深い結果が得られ、7割がこの体験を形として残したいと回答しました。これによって、食と工芸の新たな結びつきが生まれる可能性が示唆されています。
調査の結果から、多くの人々は月に2~3回程度外食を楽しんでおり、その体験を忘れがたいものにする要因として「味の美味しさ」や「誰と一緒に食べたか」が強調されました。また、外食時には使用する「器」や「箸」が印象に残るケースが多く、食事体験の記憶に深く関わっていることが浮き彫りになりました。
食体験の形に残すことへの意識
約8割の人が食事体験を形として残すことに肯定的な意見を持っており、特に「写真」の記録が好まれる傾向が見られました。一方で、使用した器や箸といった物記も人気があり、贈り物や個人の記念品としてのニーズも高まっています。このことは、食事体験を再現する手段として「モノ」が持つ役割を強調しているのです。
加えて、飲食店で使用した箸を職人が加工して記念品にするサービスへの関心も高く、自分自身の思い出としてかけがえのない品物を求める人々が多いことがわかります。これには強い特別感と物語性が求められる傾向があります。
職人技と工芸がつなぐ新たな価値
「わたしの名品帖」は、日本の伝統工芸の魅力を発信し、次世代へとつなげる役割を担っています。500年の技術を持つ輪島塗の漆のお箸を使い、万博での食事体験を記念品として提供するプロジェクトは、まさにこの精神を体現しています。使い捨てではない、育てて使う文化を現代に復活させることが目的です。
このような取り組みは、環境に配慮した選択肢を求める消費者の声に応え、自身の体験を長く楽しむことを可能にします。また、SDGsの観点からも、「使い捨てを減らしたい」と考える人々の思いに寄り添う取り組みとなっています。
今後の展望
「TSUGITE」プロジェクトは、食と工芸の新たな関係を築くことを目指しており、今後も多くの人々に愛されるコンセプトであり続けるでしょう。食事体験を単なる記憶として残すのではなく、感情や物語と結びつく体験へと進化させるビジョンが、私たちに刺激を与えています。これからのフード・カルチャーにおいて「形に残す」ことがどう進化していくのか、楽しみですね。