専門医資格を持つ医師のリアルな声：負担と価値観の多様性

医師たちがキャリア形成の一環として取得する専門医資格。その取得や維持にかかる労力やコストについて最近の調査で明らかになった内容を取り上げます。この調査は北海道に本社を置く株式会社メディウェルによって行われ、全国の2,090名の医師からの回答がありました。

調査の概要と結果

調査によると、医師の約8割が専門医資格を持っている一方で、過半数（56.6%）の医師は、資格取得や維持に伴う労力や費用がそのメリットに対して「見合っていない」と感じています。これは一見驚くべき結果に思えますが、背景には多様なキャリアの選択肢やライフスタイルの変化が影響しているようです。

医療現場の実態

各診療科の特徴も影響を与えているようで、消化器外科では22.7%、一般外科では28.9%が低い一方、リハビリテーション科（65.0%）や放射線科（64.3%）では高い傾向が見受けられます。また、専門医資格の更新に必要な費用や要件に対しては、多くの医師が不満を持っていることもわかりました。特に、専門医資格を所持している63.1%の医師は「維持・更新の負担が大きい」と感じています。

資格取得のメリットとは？

今回の調査では、医師たちが資格を取得する理由として「スキル・知識の向上」を49.2％が挙げる一方で、給与や待遇が改善されたと感じているのはわずか13.8%に留まっています。このデータからも、専門医資格を取得することに対するメリットとデメリットの認識のギャップが浮き彫りとなっています。

若手・女性医師の特殊な状況

特に若手や女性の医師たちは、出産や育児との両立に関して大きな負担を感じています。「専門医試験」や「必要な症例の取得」が大きなハードルとなっており、特に育児中の女性医師からは「こんな中で専門医試験の勉強ができるだろうか」という悲鳴も上がっています。彼女たちの声には、育児に対する配慮が全くないという悲痛な叫びも含まれていました。

専門医資格を持たない医師の見解

一方で、専門医資格を持たない医師の54.4%は「特にデメリットを感じない」と回答しており、その理由として「機会やタイミングが合わなかった」「必要性・メリットを感じない」といった意見が目立ちました。未取得医師の中には、医療現場での実力があれれば専門医資格は必要ないと考える意見もあり、医師ライフの多様性が反映されています。