セール早期化もたらす消費者の買い時迷子現象とは
愛知県名古屋市に本社を置く株式会社システムリサーチが運営する「創作品モールあるる」が、全国の20代~60代の男女を対象に行った「セール時期の購買行動に関する調査」の結果が、消費者の購買行動に新たな課題を提示しています。調査によると、約8割の消費者がセールを意識している一方で、半数以上が買い時を見極められずにいるという現状が明らかになりました。
セールを常に意識する消費者
調査結果によると、「常に意識している」と答えた人は31.5%、また「たまに意識している」と答えた人は44.5%で、合計すると約8割の消費者が日常的にセールを考慮して買い物をしていることが分かります。この傾向は物価上昇や商品の値上げを背景に「少しでもお得に買いたい」という強い意識が影響していると考えられます。
たとえば、セールの常態化やブラックフライデー、年末商戦の早期スタートが広まり、セールの時期に対する感覚が消費者に新たな影響を与えているのです。
セールの早期化に対する実感
調査の中で約5割の人が「セールが早くなっている」と感じていると回答しました。具体的には「とても感じる」と回答した人が12.5%、次いで「なんとなく感じる」とした人が35%でした。こうした意識は、セールの早期化が進む中で、購入行動にも変化をもたらしていることを示唆しています。
しかし、セールが頻発する中で、“待つ人”は少数派で、セールが早まったことで「待つことが増えた」と感じた人はわずか21.5%にとどまり、75%の人は「変わらない」と回答しました。このことからも、「欲しいときに買う」という現実派が増えていることが分かります。
購買心理に強く影響する「損回避」
「買い時迷子」現象の裏には、消費者の心理における「損回避」が大きく影響しています。セールを待つ理由として最も多かったのは「少しでも安く買いたい」という人が65.1%を占め、その次に「すぐ買うと損した気分になるから」(21%)が続きました。この結果からは、消費者の「得したい」という感情よりも「損したくない」という心理が強く働いていることが読み取れます。
購買タイミングへの混乱
調査によれば、セール早期化に対しては約6割の人が「いつが本番かわからない」と感じており、特に35%が「いつが本番かわからない」と回答している一方で、28%が「欲しい時期にはもう終わっている」と感じています。この状況は消費者にとって、タイミングを掴む難しさを強調しています。一方で、19%の人は「早く買えるのはありがたい」との意見もあり、新たなセールスタイルに対する感謝の声も見受けられます。
企業への課題
今回の調査から、セールの早期化が必ずしも購買促進につながっていないことが浮き彫りになりました。「お得疲れ」や「買い時迷子」といった新たな懸念が生まれ、企業サイドにとっては、セールを早めるだけでは不十分で「なぜ今買うべきなのか」というメッセージを明確に伝える販促設計が求められています。これからの消費者が求めるのは、セールの裏に隠された魅力やタイミングを知ることができる、透明性のある情報提供です。
セールの早期化は消費者の購買行動に複雑な影響を与えつつあり、今後もこの動向に注目が必要です。購買行動の変化に対する理解を深めることで、より良いサービスと体験を提供できる企業が勝利する時代が到来しているのではないでしょうか。