植物が細胞の分裂方向を制御する仕組みが明らかに
名古屋大学、岡山大学、神戸大学の研究チームによる新たな発見が、植物の細胞分裂のメカニズムを解明しました。この研究は、陸上植物が進化する過程を理解する上で非常に重要な手掛かりとなります。
研究の背景と目的
この研究は、陸上植物の細胞分裂における新しい制御機構を明らかにすることを目的とし、基部陸上植物のゼニゴケと被子植物のシロイヌナズナを検証対象としました。細胞分裂時に特に注目したのはCORD遺伝子です。
CORD遺伝子の発見
CORD遺伝子が生み出すタンパク質が細胞分裂において、紡錘体の向きを安定させる役割を担うことがわかりました。これにより、細胞は正確な方向へと分裂できるようになります。この発見は、植物の陸上生物としての適応と進化に関する理解を深めるものです。
陸上植物の進化における新たな知見
これまでの研究により、植物は水中から陸上まで進化していったとされてきましたが、CORD遺伝子の重要性を明らかにしたことで、もう一歩踏み込んだ進化の過程が見えてきたとも言えます。CORDタンパク質は、細胞内の中心体を持たない植物細胞の特徴を持ちながらも、分裂時の必須要素である紡錘体を正しい方向に誘導する機能をしています。
研究成果の広がり
今回の研究成果は、2025年9月に科学誌「Current Biology」に掲載され、学術的にも大きな注目を集めています。研究グループは、今後もこの分野のさらなる調査を続け、陸上植物の進化を解明する道を拓いていくとしています。
研究チームのメンバー
本研究には名古屋大学の佐々木助教や小田教授、岡山大学の本瀬准教授、神戸大学の石崎教授らが参加しており、彼らの知見が結集された成果となりました。これらの研究機関は、今後も連携を深め、植物科学の発展に貢献していくでしょう。
まとめ
陸上植物の進化の理解は、地球全体の生態系の理解にもつながります。未来の植物研究がさらに進展することで、我々が直面する環境問題の解決へとつながる可能性が高まっているのです。